バルコニー日和

のんびりと過ごす日々のよしなしごと

みんなわかってもらいたい

先日のことです。

横断歩道で信号待ち中、中年の男性が大声で怒鳴っていました。

どうやら誰かにぶつかられたらしいのですが、ぶつかった人は自転車か何かで通り過ぎた後だったのかな? 誰にともなくひとりでずっと悪口雑言。

 

どんどんエスカレートしていく怒声に、私含め何人もいた信号待ちの人たちはみな会話を止めてシーン……。

いたたまれない雰囲気に(早く信号変わって~!)と心のなかで祈っていました。

 

そんなときほどなかなか変わらないんですよね。

 

すると、ひとりの高齢のご婦人が、怒鳴り続ける男性ににっこりと微笑んで

「ごめんなさいって言えばよかったのにねえ」と一言。

 

すると、男性はとたんに嬉しそうに顔を輝かせて

「そう!そうなんだよ!まったくよぅ!!」

と、ご婦人に向かって、ぶつかってきた人がいかにマナー違反かを語り始めました。

ご婦人は笑顔のまま適当にあいづち。

 

やがて信号が変わると、ご婦人はなおも話し続けたそうな男性に
「それじゃあね、さようなら」と言って颯爽と去っていきました。

話を遮られた格好になった男性ですが、にこにこしたまま

「おう!すまなかったね!」とご婦人に何度も頭を下げていました。

 

鮮やかすぎる……!!

 

ついさっきまでみんな身を固くしていたのに、ご婦人の一言で一気に場の雰囲気が柔らかくなりました。

あの男性、わかってもらえたって思えてよっぽど嬉しかったんだろうなぁ。

 

怒鳴ったり怒ったり、負の感情を吐き出すときって、自分のことをわかってほしいんですよね。

とはいえ怒りを向けられた人は不快だし何されるかわからなくて怖いから遠ざかって、本人は「わかってもらえない!」って傷ついて、ますます怒って……の悪循環。

 

そしてきっとあのご婦人は怒っていた男性にというより、身を縮めて黙り込んでいた信号待ちの人たちに助け船を出してくれたんだろうな、と思うのです。

たしなめるのではなく、笑顔でその場を収めた機転と強さに憧れます。かっこよかったなあ。

 

ああいうことがさっとできる女性になりたい。

いきなりご婦人のようにはできないのでまずは家族や職場の人など、身近な人から。