もつ焼き『 宇ち多゛』。
昭和感漂う立石の町で、連日行列ができるお店です。
いわゆる”せんべろ”に憧れはありつつ、足を踏み入れたことがなかったわたしですが、この度ついに宇ち入り(宇ち多゛に行くことをそう呼ぶらしい)デビューを果たしました。
きっかけは、お気に入りのカフェのマスターの行きつけのお店だと教えていただいたこと。
そもそも、立石という町のことすらよく知らなかったわたし。
昭和っぽい飲み屋さんが立ち並ぶディープな町で、かつ、再開発のためいまどんどん変貌していると聞いて俄然興味が湧きました。
再開発で思い出の光景が消えてしまうことが最近続いているので、行きたいところには行けるうちに訪ねておきたい。
何より、おいしいもつ焼きが食べたい!
平日でも行列必至、土曜日は尚、と聞いて平日に行こうと決めました。
お店の営業時間は14時〜19時なのですが、狙い目は17時ごろとか。サラリーマンが仕事帰りに寄るには少し早めの時間です。
フレックスタイムを利用して、立石の駅に降り立ったのは17時ちょっと過ぎ。
途中、乗り換えの京成曳舟駅で下車したついでに言問団子の誘惑に負けておいしいお団子を食べてしまったので、お腹はそれほど空いていません。
ちなみに曳舟駅から言問団子までは徒歩15分ほど。ずいぶん力いっぱい誘惑に負けたなと自分でも思います。
立石駅の北口はすでに再開発の波に飲まれて、工事中の仮囲いが一面に。往年の呑んべ横丁の面影は窺い知れませんでした。
初めて降り立つ町とはいえ、あまりに殺風景でちょっぴり寂しくなりつつ、踏切を渡って南口へ。
南口はまだ再開発が始まっておらず、レトロなアーケード街がそのまま残されています。
そんな「立石仲見世」はまるでテーマパークみたい、と思ってしまうほどの昭和感!
「宇ち多゛」の前に行くと、たまたま空いていた時間帯だったらしく、並んでいる人が誰もいませんでした。
おそるおそる引き戸を開けて「あの……」と声をかけると、コワモテの男性に「何人?」と聞かれました。ひとりです、と答えると「そこ座って!」と入り口近くの席を指定されました。
長椅子に詰めるようにして座ると、わたしの隣もその隣もおひとり様の男性で、すでに何皿もお皿が重ねられています。
全体に男性が多め。
その日は女性ひとり客はわたしだけでした。
「宇ち多゛」は
・酔った状態で行ってはいけない
・3人以上で行ってはいけない
・騒がしくしてはいけない
・カバンは前に持ち替えて
・人数が揃ってから並ぶこと
などなど、厳しいルールがあることで有名。
さらに、注文方法も呪文のようで初心者にはハードルが非常に高いお店です。
幸い、事前にレクチャーを受けていたのと、隣の席に座っていたサラリーマン風の男性が慣れた感じだったため、だいぶ助けられました。
まずはビール小瓶と煮込みを頼み、一息ついてから、改めてネットでレビューやマニュアル(というものがあるのです)を読み返して予習。
近くの席のお客さんが注文するのに合わせて店員さんを呼び止め
「アブラスクナイトコロとガツ一本ずつオス」
を注文。
『一本ずつ』という注文の場合、自動的に生(茹でたもの)になるというのも予習して得た知識です。
続けて、人気だという「シロタレヨクヤキ」も。
慣れてしまうと注文もなんとなくできるような気がします。
隣の男性は梅割り(焼酎に気持ち程度梅シロップが入ったもの)を4〜5杯は飲んでいた模様。わたしはお酒が弱いのでビール小瓶をちびちび飲みつつです。
少し盛り上がっていたお客さんが「声落としてねー」と注意されたり、リュックを背負った方が「前に持って!」と言われたりするのを目の当たりにして(これが噂の)と感動しつつ、あっという間にお腹いっぱいに。
会計もタイミング勝負で、隣の男性が会計を頼むのに合わせて「わたしもお会計を」とお願いしました。
「はい、ワタシ◯◯円ね!」
と言われて代金(安い!)を支払って表に出ると、行列ができていました。
店内も昭和感たっぷりでまるでタイムスリップしたような雰囲気を味わえるし、(入るのに並んだとしても)さくっと食べて飲んでさっと出られる気軽さも、呪文のような注文も楽しい。
「宇ち多゛」、はまりそうです。
また行きます!